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リアルなフードビジネス!

料理のこと・おいしいお店のこと・かっこいい
スタッフ・お店の経営のこと・・・などなど
フードビジネスに関することモロモロ!

前回の小さなイタリアンに関連した続きです。

そのイタリアンのオーナーさんは、2号店の出店を考え始めたわけです。

そのお店の今後については、これから少々時間をかけて具体化させて

いくんで、現時点ではどの方向に行くかは、全くの未定。



で、このイタリアンのオーナーさんに限らず、1軒目のお店がうまくいくと

2軒目を・・・更にはチェーン化して、フランチャイズ化なんかも考えて・・・

よくある話です。

実際、僕のところにも過去に数件、そんなような相談がありました。

しかし、1軒のお店を繁盛させることと、チェーン化し飲食事業として

成立させていくことは、全く別モンだと僕は思っています。

一番の重要ポイントは、オーナーさん(店主さん)の性格や考え方・・・

と言えば良いでしょうか。



1軒だけのお店の場合、ご来店いただくお客さんに満足して頂くため、

オーナー自身が考え、行動すれば良いわけです。

(スタッフがいる場合もオーナーの率先垂範です)

ところが、2軒目・3軒目となるつれ、結局 誰かにそのお店を任せない

とだめなわけです。

この場合、一般的に言われているのは、「自分の分身を育てて、その人

を店長としてお店を任せていく。」・・・と言うことでしょうか。

果たして、そうなんであろうか??・・・と僕は思うわけです。

そういう考え方も必要な部分もありますが、僕はそれだけじゃ無理だと

思います。

そういう考え方しかできないオーナーは、多店舗化なんて考えない方が

良いでしょう。

何のためにお店を増やすの?

    もっと儲けたいため?・・・もちろんそうでしょうね。

    有名になりたいため?・・・もちろんそうでしょうな。

しかし、僕は思います・・・。

どんなビジネスにしろ、事業を拡大していくのであれば大いなる「志」

必要だと言う事。

ただの飾りごとのような、企業理念や経営理念のことを言ってるんじゃない

ですよ。

そこんとこを、多店舗化を目指すオーナーさんには、もっともっと考えてもらい

たいと思いますね。

その「志」があってこそ、血の通った飲食店経営(事業)が可能にあるわけ

なのですからね!


さてさて、前回の続きです。

僕がお手伝いをしていた、イタリアンのオーナーシェフさんが、真顔で

僕に言いました。

「最近、新しい店の出店を考えてるんやけど・・・」

僕にとって、それはホント想定外の相談でした。

何故って、僕が知る限り、このオーナーさんは多店舗化を考えるような

人ではないからです。

性格も人柄も、店舗オーナーというよりも、マスターとか大将っていう感じ

の方なんです。もちろん、いい意味でですよ。

そんなオーナーさんからの、この一言・・・大問題なのですわ。

とにかく、どういった経緯でそう考え出したのか、確認する必要があります。



 僕   「今の店の2号店ってことですか?」

オーナー「うーん・・・ベースは今の店やけど、もう少し高級志向にして客単価
      を上げれる店かな。」

 僕   「今が客単価¥3,500前後なんで、例えば¥5,000ぐらいとか?」

オーナー「理想はそれぐらい・・・。お店自体も、もう少し広くて、席間もゆった
     りさせて、できれば駐車場も確保したいかなぁ。」

 僕   「なるほど・・・。で、誰が運営するの?」

オーナー「まだ具体的には考えてないけど、補助的な調理人を雇って、僕が
     ここと掛け持ちをしながらになるけど・・・」

 僕   「フムフム・・・。他に具体的に考えてることはあるんですか?」

オーナー「いや、具体的のことはまだ何も・・・ただ、この店が狭いから満席で
     帰られるお客さんもいるでしょ。そのお客さんが勿体なくって・・・。」




ようするに、帰ってしまうお客さんに申し訳ないと言う、漠然とした想いからの

2号店案なのです。

今のお店はまずまず好調で、近頃では予約も結構埋まってる状態。

とは言っても、席数は12席で夜だけの営業だから、平均すると1日/25名ほ

どの客数です。

よって、1日の売上げは¥90,000前後なのです。

週1回が休みですから、月商は平均すると220万~230万と言ったところ。

個人経営の飲食店とすれば、上々の出来です。

あと1年もすれば、初期投資分も償却できそうな、ホントに優良店です。

僕もいろいろなタイプの、飲食店オーナーさんを見てきましたが、1軒目の

お店がうまくいくと経営者として、2号店の出店は、当然考えることです。


しかし結論から言うと、それも向き不向きがあるのです。

1軒のお店を自ら経営するのと、2軒以上の店舗経営は全く性質の違うもの

なのです。

このオーナーさんの場合、隣り合った立地で少々コンセプトの違う2軒のお店

を経営するのなら可能かもしれませんが・・・。



要は「人を育て、その人に任せられるか?」と言ったところでしょうか。

それから、昔風で言う「志」や、今風で言う「システム構築」なども必要に

なってきます。

・・・おっと、長くなったんで続きはまた次回にしましょう!


僕が以前お手伝いしていた小さなイタリア料理店のお話。

神戸の住宅街にポツリとある、そのお店はテーブル4卓で12席の

ホントにこじんまりとしたイタリアンです。

お店は、料理歴30年にもなるオーナーシェフと数名のアルバイトさん


で切り盛りされています。

お店のスタイルは、気軽なイタリアン食堂・・・白と水色をコンセプトカラー

にしたファサードは、色々な植物やハーブがいっぱいで、目を惹きます。



店前にある看板は、ホームセンターで買ってきた板を組合わした、こちら

もオーナーさん自身の手作りなんです。

店の営業は夕方からで、夜のみのなのですが、もちろんお料理もすべて

手作りのため、オーナーさんは朝から仕入れに行って昼前から仕込みです。


そしてオープンしてまだ2年も経ってないそのお店は、今では連日満席状態

です。

もちろん、最初からそうだったわけではありませんよ。

もともと人通りのある立地ではないので、お客さんがゼロの日もありました。

オープンから半年ほどは、精神的に辛かっただろうと思います。

しかし、そのオーナーさんの日常を見ていて、必ず少しずつお店のファンが

付いて、口コミ効果で繁盛する日がくることを、僕は確信していました。

とにかくできることは、お金を掛けずに、すぐ自分でやってみる。

コツコツとまじめに、常に明るく謙虚にお客さんに喜んでもらえることを実行

されていました。



オーナーさんの人柄が、お店自体に表れていましたからね!

僕に相談があったのは、料理以外のお店のデザインや運営のことなのです

が僕自身も、そのオーナーさんを見ていて教わったことが沢山ありました。



何事も1日して成らず・・・ですよね。

大手の資本力のあるお店のように、販促費を沢山つかって、広告を打つこと

のできない、小さな個人商店は本当にコツコツと・・・これしかありません。

しっかりとしたコンセプトと、美味しい料理と心からの接客ができれば、きっと

ファンが付き、徐々に口コミで広がります。

そう・・・それこそが、本来の飲食店の姿なのです。



流行ばかりにとらわれては駄目ですよ。

小手先のメニュー変更や、販促活動なんかでは、かえって逆効果になること

もあるのです。




・・・で、ある日 その小さなイタリアンのオーナーさんから、相談されました。


オーナー「りんさん、2軒目を出店しようと思ってるですがどう思う?」

 僕   「えええええええええーーーーーーー!!!!」



これは大変です。何故って?

ハイ、続きはまた今度!!